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2009.11.08 ゆめうつつ3
 私は顔を出したそれに触ることなく、それを認めたことを充分わかるように声をあげて笑ってから大輝を見つめた。もう見なくたってどうなってるかなんてわかるのだけど、この瞬間はいつも声をあげて笑ってしまう。
 今から恥ずかしい事、痛い事、酷い事されるとわかっていてそうするんだからどうしようもないマゾだなぁと改めて確認するのだ。マゾが好きだ。好きなものに出会うと笑いは自然と漏れるものでしょう。

 背を向けるように小さく指示し腰に手を回して反対に向けてから、私は立ち上がってその腕を強く後ろで組ませ抱えてから、鏡の前に移動した。
 やらしい。
 当然大輝は顔を背けるからそれを注意する。
 ダメ、見ないと。そうして後ろから顎を掴んで正面に戻すと火照った顔と同時に声が聞こえる。
 誰が言おうとこの段取りが好きだ。
 
 それから近い位置から耳に語りかけてやる。

 見てごらん自分の顔、こんなマゾ丸出しの顔して。
 そんなにしてよく平気だねぇ。
 恥ずかしくないの?私だったら、こんなマネできないけど。
 ねぇ、これもう先が濡れてるんじゃないの?
 
 そうして初めて直に手で持ち上げてあげる。

 だけどここで止めてしまう。
 手をはなしてやってから私はまたソファーに戻って戸惑う姿を楽しむのだ。逃げるなら今だよ。嫌なら嫌といえばここで止めてあげる。だって強姦まがいなことしたくないしね。
 今度は迷うことなく大輝は自分の居場所をみつける。私の足元に助けを求めるように座る。
 だけど言葉は出てこない。
 
 暫く沈黙が続いた後に助け舟を出す。
 「何、どうするの?」
 「・・・お願いします。」
 「何を?」
 「いじめて下さい・・・」

 そう、これを言わせたかったのだ。
 しかも軽くでてくる言葉じゃなくて、本気のお願いが聞きたかったのだ。
 
 「お願いっていうのはねぇ、こうするんだよ。」
 
 私は大輝の髪を掴んで床に付くまで、それを引き摺りおろした。
 ああ、気持ちがいい。この瞬間大好き。
 それから頭に足を乗せる。

 「ちゃんと聞こえなかったから、もう一度大きな声で言い直して。」
 「・・・。」

 言葉に詰まった大輝の頭に乗せた足に力をこめる。
 
 私は幸せだ。
 小学生の頃の私は目の前で床に頭をつけて土下座をするその頭を踏みたくてもできなかった。それはしてはいけないことだと感じていたから。そして、いけないことだからこそ魅了されたのだ。
 数年越しの欲望が今叶う。
 私は我慢のできない人間だ。
 こうして夢見ていたことを実現しないと気がすまないのだ。
 それを勇気があると表現する人もいるけどなんだか違和感を感じる。私は大それた事なんてしていない。どちらかと言えば我慢の出来ないいけない人間だろう。
 それをこうして受け止めてくれる人間がいてよかったなと思う。
 今だってこうして大輝は欲している。
 衝動を止められないから動き出す。

 「いいの?もうやめようか」
 
 足をぐりぐりと動かす。

 「あ、ぁ待って、、下さい」
 「ほら、大きい声で言いな。だってされたいんでしょ?されたかったから今日こうしてのこのこやって来たんだから。」

 一度動きを止めて髪を掴んで目を合わせる。
 この顔がそそる。
 上げた顔の顎の下に爪先を差し入れて、促す。 
2009.09.18 ゆめうつつ2
ホテルに入ってすぐの緊張感が私は好きだ。これから好きなように目の前の男を料理できると思うと、上から下までを舐めるように見てしまう。
 反対にどうされるのか緊張している姿を見ると、堪らなく意地悪な気持ちが沸いて来る。
 弱い生き物を捕らえて敢えてすぐに殺さないで、逃げ回る姿を笑いたいような欲求だ。それからじっくり息の根を止めるように。
 気持ちいいでしょう。

 私は敢えて何も言わずにソファーに座り、様子をうかがった。
 隣にも座れないしどうするのかと思ったら、大輝はベッドの端に腰掛けた。

 「こっちにおいでよ。」

 躊躇うのを目で促すと、おずおずと私の前に立った。
 ソファーの前までこさせた大輝のボタンを一つ外してやって、笑ってみせた。

 「初めからこうされたかったんでしょ。」

 そうしてまた足で踏んでやった。
 私の言葉に返事はなく、ただ小さく声を零すだけだった。
 その手を拘束しているわけではないし、ここに繋げて立たせているわけではないのだから、大輝は拒否しようとすればできるのだ。
 だけど彼はそこから動かず、手はどこにも動かせず所在なげに浮いていた。
 いっそ縛ってやった方が楽なんだろうに。

 「私にこういう風にして、無理にやられたかったんじゃないの。自分の意思じゃどうしようもなかったんだ、って思いたいんじゃない?」

 黙ってされるがままになっている。
 私は大輝のジーンズに手をのばして、残りのボタンをゆっくりと外していった。それから膝までおろすと、露骨に張り出した姿が見られるのだった。
 自然と笑いが漏れてしまう。

 「はは、すごいねぇ。」

 張り出したそこをからかうように軽く叩きながら、目線を合わせる為、こちらを見るように言った。


 瞬間に唇が狙うように歪む。
 

 目が被虐の色に染まっているからだ。



 …この目をなんと表現したらいいのだろう。

 私はこの目がとても好きだ。
 立場を認めた瞳。これから起こることを受け入れる、受け入れなければならないと信じる瞳。
 無防備に抵抗などなく、受け入れると決めた瞳。

 それを目の当たりにすると、私の欲望がむくむくと顔をだす。
 私にその体と心が裸のままに投げ出されたように感じて、それを叩いてやるか、引っ掻いてやるか、撫でてやるか、さすってやるか、抓ってやるか、踏み付けてやるか。
 選択権は私にあって、どうとでもできる。痛みに泣かせることもできるし、快感に喘がせることもできる。
 なんて、なんて甘美か。それをどうしてか分かち合えない特殊な欲望だと言う。

 私はこういう目や表情が見たくて、勝手に手足が動くのだ。
 それがSなのかどうかなんてわからないけど、無防備な体と心が手元にあるとどうしようもなくなるのだ。

 いつも、その肌には皮膚さえないようにイメージされる。
 剥き出しの赤い肌が浮かぶ。
 塩水に浸したらどう叫ぶのだろう。


 「上に着ているのも全部脱いで。」

 素直にパンツだけの姿になると、そのゴムに指をかけておろしてやる。
 手を後ろで組むようにして大輝はそれを見つめていた。
2009.09.14 ゆめうつつ1
小説を書いてみようと思います。









 「彼女ができたから何もしない。」
という言葉は、自分の罪を軽くしたいからなんだろうと思って「わかったよ。」と返信した。
卒業してから2度程プレイらしき事をしたけれど、前回からは半年が経っていた。大輝は相変わらずで、真面目にも付き合っている間は何もできないと言った。
 それなら、何も期待や欲がないなら、こうして私と会う必要などないはずだ。
 ひそかに期待をもっているから約束をしたのだろう。私は希望通りに理性を飛ばしてやるつもりで来た。

私自身、やってくれとお願いしてくるよりも、できないと言われる方が燃える。
いけない、ダメと言いながら強く抵抗する身体に刺激を与えて、その力がゆるんでいく様が見たいのだ。弱々しく倒されていく身体をどう虐めてやろうかとたくらんでいると涎がわいてくる。それから、言ってやりたい。
「どうして欲しいの?」

軽くお酒とご飯を食べた後カラオケに行った。そこで、最近私におきた性的な話をしてやると大輝の顔は赤らんできて
「もう、話さないで。」
と言った。

そう言われて話さないSがいると思う?

笑ってそれを無視して話を続けていると、落ち着かない姿がよくわかる。目を合わさないようにしているくせに、時たまチラリと見る。その目は欲情を露わにしているのだ。

(明かりの中で裸にしたらね、恥ずかしそうに背を曲げるの。膝を閉じて身体を精一杯隠すようにして。
だからバンザイしてしっかり見せるようにいったら
何もしてないのにね…)

話は特にものすごい話ではない。インターネットを探せば似た体験談などはすぐに見つかるだろう。
だけど大輝にとって、それを目の前のこの女がやっているということは非常に刺激的なのだ。
恐らく彼の頭にはリアルに私と誰か知らない男との様子が浮かぶのだろう。

「…もうやめて。」
「どうして?」
「やばいから。」

私は組んでいた足をくずし、宙にハイヒールを見せるようにあげて脱ぎ落としてから、恐れるように凝視する彼のジーンズにそれを乗せた。

「ダメダメ」

足をどけようとする手は震えているでしょう。可愛い。
もちろん素直に足を退けるわけもなく足を移動させて、彼の股間を布越しに踏み付けた。
想像していたようにそこは固い。
その癖にまだ私の足を退けようとしている。でもそれが全力じゃないのはわかっている。

「…あ、ダメだってっ」
「なんでよ、こんなになってるじゃない。」

顔を覗き込みながら足をグリグリと動かすと遠慮がちに声がもれて、足を退けようとしていた手はただ添えるようになる。まるで大事なものを崇めるように。
 足を動かす度に声が出てしまう。私は笑いが込み上げてきてしまう。

 「ふふ、恥ずかしいの?」
 「ぁ…そんなにしないで、」

 大輝は感じ始めると、普段の彼とは変わって言葉が弱々しくなるのだ。
 ジーンズのボタンを開けて、パンツをみると、そこにはうっすらと濡れた染みがついている。

 「あーあ、濡れてるよこれ。」

 布越しにつまみ上げると身体がビクンと震えた。
私はそうして、目を合わせようとしない顎を掴んで上を向かせて、真っ直ぐに言ってやる。

「ホテル行こうか。」
「でも」
「いいから、だってもう出さないと我慢できないでしょう。」

 そうやって言い訳をつくってあげる。