2ntブログ
2016.05.19 水の中
水泳を生後9ヵ月から始めて、12歳まで続けていました。
だからなのか、水に触れることは無条件で好きです。

夏休み、小学校のプールで、先生が、私たちを沈めたりしてじゃれ合う光景があった。
私は泳ぎが得意だったので沈められることはなかったのだけど、よくその時のことを覚えている。

きっとみんなは覚えていないだろう。

そういった幼少時の記憶がいくつかある。
きっとみんなは覚えていないだろうけれど、私には、はっきりと刻まれたシーン。

プールからよじ登ってプールサイドへ上がるのを邪魔して、上らせないでじゃれあっていたあの風景。
池の中へ棒で沈める漫画の一コマ。
プールの奥に女の子を押しやって、水着の中に手を入れて困らせたこともあったなぁ。

水に纏わるものは、私の中では、甘美で官能的なものが多い。

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ラブホテルの浴槽すれすれまでにぬるま湯を張って
男をそこへ、拘束固定する。

その中に進むと、肌が沈んで濡れて、ラバーの隙間に水が潜り込む。
男は名前を繰り返し呟いて、私を見ている。
水の中で触れる肌はすべりが良くて気持ちがいい。

その肌をぐっと押すと、ぬるま湯に顔が沈む。
上から覗く表情や浮かんでくる気泡を眺めていると、私は何かが溶けるように感じる。

今、彼は、私にしか助けを求めることができない。
彼を苦しめているのは私なのに。

繰り返される、私の名前は、呪文みたいだ。そう繰り返せば助かるような。

恐怖に息を荒げる男を何度も繰り返し沈めていたら、彼は静かにそうされるようになった。

私は、彼の頬を掴んで上げて、目を合わせて
「なに、死のうとしてるの。」と言ったら

男は落ち着いた様子で
「このままでいいかなと思って。 」と答えた。