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2018.01.15 A2Z-P prisoner
A2Z
玄関を開けると、鎖の音がして、Pは扉の窓越しにこちらを見つめている。
部屋に上がり見下ろすと裸の男は嬉しそうにブーツに頬を摺り寄せる。

私が想像していたよりも、ここに閉じ込めているのは辛くなかったのかもしれない。

「お腹空いてる?」

Pは深く何度か頷いた。

空いているに決まっている。前にあげてから24時間経っている。
だけど、私が意地悪でお預けをほのめかしても、Pは少し眉を辛そうに形を変えるだけで、縋らない。

フローリングに食事を落として、土足のままでそれを何度も踏みつけて、唾を吐きかけた。
床へ舌を這わすPの頭を踏みつければ、当然顔は汚れる。
拭おうと、顔に触ると鼻が冷たくなっていた。

寒かったのか。

「元気そうじゃないの。」
「いらしたら、全て忘れて嬉しくなっちゃうんです。」

もっと追い詰めないと辛い表情は見ることができないのかもしれない、と思った。

私は、Pの腕を後ろに鍵をつけて拘束して、首輪からのびる鎖の長さも横たわれるギリギリの長さに変えた。
Pは拘束された腕の動かせる範囲でブランケットが自分にかけられるかどうか確認していたけれど、難しそうだった。
その様子は哀れで気に入った。
不安げな表情を見ていたら、私はもっとその様を見たくなって、口枷を取ってPの前に翳した。

「あ…水を、一口飲ませていただけないですか」

私は答えずに、口をそのまま塞いだ。
その瞬間、直接履いたパンティストッキングに愛液が染みていくのが自分でもわかった。

南京錠をかけると、Pの動きが止まって、嘔吐反応が起こった。

「どうしたの?」

顔が青ざめて、返事もできないようだった。

喉の奥に当たってないでしょ?息できてるでしょ?
どれにも返ってこなくて、私は気付いた。
ああ、こわいんだな。

それは私に更なる興奮を呼び起こしたけれど、倒れるかもしれないと思って口枷を解いた。

「どうしたの。」
「…頭が、クラクラします」
「横になっていいよ。」

触れると全身が冷たくなっていて、震わせる隙間で、ごめんなさい、とPは繰り返した。

ブランケットと着ていた毛皮をかけると、段々と身体は暖かさを取り戻して、震えも治まっていく。
暫く側にいて落着きを確認してから、私は帰る支度を始めた。

かけていた上着を羽織って鞄をもってPの前の椅子に座る。

「帰るけど、辛い?」
「辛くないです。」
「本当に?」
「…辛いです。」
「どっちなのよ。」
「辛いです。」
「なんで、辛くないって言ったの。」
「辛くないって言った方が、ゆっくりお休みになられるかと思って。」

ちゃんと見ていないと、この子死んじゃうかもしれないな、と思ったけれど、私は立ち上がった。

「帰ってきてくださいね。」
「…わからないよ。」

大事にしたい気持ちと、壊したい気持ちは似ている。